在日外国人の方の家族法

国籍を保有している国の本国法が原則的には準拠法とされています。

法例では、本国法が家族法上の問題に適用すべき原則的な準拠法とされています。

具体的には、婚姻の成立要件、婚姻の効力、夫婦財産制、離婚、親子間の法律関係、後見・保佐、相続、遺言などの単位法律関係において、本国法が準拠法として規定されています。


法の適用に関する通則法について

2007/1/1に施行され、国際私法に関する規定の整備 についての法律です。この法律の骨子は下記になります。


ア.法律行為の成立及び効力に関する準拠法について,当事者による選択がない場合には,法律行為の当時における当該法律行為の最密接関係地法によるものとする等の規定を設ける。

イ.消費者契約の成立,効力及び方式並びに労働契約の成立及び効力について,消費者及び労働者の保護の観点から,消費者の常居所地法又は労働契約の最密接関係地法中の特定の強行規定を適用する旨の主張をすることができるものとする等の規定を設ける。

ウ.不法行為によって生ずる債権の成立及び効力に関する準拠法について,原則として結果発生地法(結果発生地が通常予見不能の場合には加害行為地法)によるものとするほか,生産物責任及び名誉・信用の毀損に関する特例規定等を設ける。

エ.債権の譲渡の債務者その他の第三者に対する効力について,譲渡に係る債権の準拠法によるものとする。

オ.以上のほか,?隔地的な法律行為の方式,?行為能力の制限に関する取引保護,?後見開始の審判等及び失踪宣告,?外国人の被後見人等に対する日本法の適用等に関する規定を整備する。


 法の適用に関する通則法(132KB)


遺言の準拠法

遺言書を作成する場合は、法律で規定されている一定の形式で行わなければなりません。

遺言の方式については、行為地法、遺言者が遺言の成立または死亡の当時に国籍か住所または常居所を有した地の法律、不動産に関する遺言についてはその不動産の所在地法、それらのうち、いずれかの法律の方式であれば有効となります。したがって、遺言をする場合は、日本民法の方式でも、あるいは韓国民法の方式でも良いことになります。

韓国または日本の民法で定める遺言の方式に沿う遺言で、「遺言者は相続準拠法として常居所地法である日本法を指定します」と遺言で明確に示し、遺言をしたときから死亡するときまで常居所が日本に継続していれば、その在日の方が亡くなったときの相続に関する法律は、日本法が適用されます。

「常居所」とは人が常時居住する場所で、単なる居所と異なり、相当期間にわたって居住する場所と定義されています。また、「特別永住者」の在留資格をもって在留する在日の方は、日本の戸籍実務上は、日本に「常居所」があるものとして取り扱われます。

また、遺言をする能力があるかどうか、遺言という意思表示が有効にされるかどうかについては、遺言の成立の当時における遺言者の本国法によります。韓国民法には遺言適齢、無能力者と遺言、禁治産の遺言能力の規定があります。

日本で遺言する場合は、公証役場にて公正証書遺言にされる事をお薦め致します。

相続の準拠法

在日韓国人の方が被相続人の場合は、相続の準拠法は原則通り韓国民法になります。ただし、「遺言者は相続準拠法として常居所地法である日本法を指定します」旨の適式な遺言を作成し、遺言をしたときから死亡するときまで常居所が日本に継続していれば、その在日の方が亡くなったときの相続に関する法律は、日本法が適用されます。

日本民法と韓国民法の相続は差異があります。

概略は、法定相続分に違い、配偶者の代襲相続の有無、兄弟姉妹の代襲相続人の範囲の違い、遺留分の規定の違い、相続人廃除制度の有無、などで、配偶者の相続権では、被相続人に兄弟姉妹等の2親等以上の傍系血族がいても配偶者が単独相続人になることや、配偶者も代襲相続権を持つことなどです。

遺留分の規定では、被相続人の兄妹姉妹にも遺留分が認められいます。遺留分の放棄や推定相続人の廃除などの規定はありません。

成年後見制度の準拠法

「法の適用に関する通則法の第5条に後見開始の審判等の規定があります。

第五条 裁判所は、成年被後見人、被保佐人又は被補助人となるべき者が日本に住所若しくは居所を有するとき又は日本の国籍を有するときは、日本法により、後見開始、保佐開始又は補助開始の審判(以下「後見開始の審判等」と総称する。)をすることができる。

在日韓国人の方の成年後見制度の後見開始の申立は、日本の家庭裁判所になります。

韓国民法では、「心神喪失の常態にある者に対しては、法院は、第9条に規定する者の請求により、禁治産を宣言しなければならない」と定めています。この禁治産が宣言されると、本人のために後見人がおかれ、その後見人が本人のため、、療養看護に日常の注意を払い、その財産を管理することになります。

任意後見契約については、韓国法には類似する制度がありません。永住者・特別永住者の方が任意後見契約を締結できるどうかは、判断の分かれるところです。任意後見の準拠法として、常居所地法たる日本法を選択できる立法措置が望まれます。


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