まずは人生の棚卸しをして、それからの老いじたくを
ゆっくりとお話をお聞きしながら、少しずつ内容を決めて行きます。これまでの人生を振り返り、ご自分の性格や価値観を見つめ直すとともに、今までと、現在と、これからをそれぞれにご自分の言葉にして置く準備が必要です。これから訪れることがらに対して備えをしておく事が、任意後見契約の内容になります。
ライフプランは今後のご自身の生活設計という意味です。平均寿命が男性は80歳前女性では84歳の時代ですので、それぞれの世代に応じて、ご自分のご希望や現実的な資産の活用方法を考えながら、ご自身が設計します。ですからライフプランにはご自分の意思がきちんと反映される事になります。
最近は本屋さんにて「エンディングノート」が数多く市販されています。そこには今後に備えるべき事柄や今後の希望を書き込む欄など、ライフプラン作成に必要な事項が列挙されています。このノートには思いつくままにご自分の意思を残すことができます。思い立った時に少しづつでも書き加えて見てください。
・参考資料
エンディングノート(101KB)
任意後見契約におけるライフプランは後見事務の自己決定
まずはライフプランをじっくり検討していく事から始まります。任意後見契約の「代理権目録」記載の後見事務を行うについては、「ライフプラン」を委任者の自己決定と認識して、ライフプランに沿って本任意後見事務を行なわなければならない。と本契約書に記載されます。
ライフプランに記載される事項は概ね下記項目になります。
A.財産の管理・保存・処分等に関する事項
B.金融機関との取引に関する事項
C.定期的な収入の受領及び費用の支払に関する事項
D.生活に必要な送金及び物品の購入等に関する事項
E.相続に関する事項
F.保険に関する事項
G.証書等の保管及び各種手続きに関する事項
H.介護契約その他の福祉サービス利用契約等に関する事項
I.住居に関する事項
J.医療に関する事項
K.その他の事項
L. 紛争の処理に関する事項
M.復代理人・事務代行者に関する事項
実務上は上記項目ごとにそれぞれの具立的な内容が記載されます。例えば、できるだけ在宅での介護を希望します。在宅での介護が限界で施設への入所が必要となったときは、自宅を売却して、生活及び介護費用に宛ててほしい。延命治療はしないで苦痛が少ない治療のみにしてほしい。など遺言書に記載される様な内容や、遺言の付言に記す事柄など、本人の希望=意思を記載しておきます。
また、このライフプランの内容に応じて、通常の報酬とは別に、その都度の対処が必要とされる項目については、その分の報酬も任意後見契約公正証書に添付されます。
任意後見契約書・サンプル
任意後見契約書
第1条(契約の趣旨)1.甲は、乙に対し、任意後見契約に関する法律(以下任意後見契約法という)に基づき、甲が精神上の障害により本人の事理を弁識する能力(判断能力)が不十分な状況における別紙「代理権目録」記 載の 後見事務を委託し、乙は、これを受託する。
2.任意後見契約は、甲について家庭裁判所により任意後見監督人が選任されときからその効力を生ずる
3.甲乙間の法律関係については、本任意後見契約に定めるもののほか、任意後見契約法及び民法の規定に従う。
第2条(ライフプラン)1.乙は、別紙「代理権目録」記載の後見事務を行うにつき、別紙「ライフプラン」を甲の自己決定と認識し、本ライフプランに沿って本任意後見事務を行なわなければならない。
2.乙は、本ライフプランの内容に沿って本後見事務を遂行することが、甲の福祉に鑑み適当でないと判断されるときは、任意後見監督人との協議により本ライフプランの趣旨を斟酌して、適切な方法により本任意後見事務を行なうことが出来る。
第3条(任意後見監督人選任の申立)1.本任意後見契約締結後に、甲が任意後見契約法第4条第1項所定の要件に該当する状況に至ったときは、乙は、家庭裁判所に対し本任意後見契約に基づいて任意後見監督人の選任の申立を行うものとする。
2.乙は、第1項によって家庭裁判所から選任される任意後見監督人として、成年後見センター・ぱあとなあが選任されることを希望する。
第4条(身上配慮義務)1.乙は、本任意後見事務を遂行するに当たっては、甲の意思を尊重し、かつ、甲の心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
2.乙は、前項の義務を遂行するため毎月甲を訪ね、必要に応じ適切な処置を講ずることを要する。
第5条(代理権付与の範囲)甲は、乙に対し、別紙「代理権目録」記載の後見事務について、代理権を付与する。
第6条(管理対象財産)1.乙が本任意後見事務により管理する財産は、別紙「財産目録」記載の財産及び本契約締結後に甲に帰属する一切の財産、並びにその果実とする。
2.本契約締結後に甲に帰属する財産及び前項の別紙「財産目録」に記載漏れした財産は、目録不記載といえども全て乙の管理対象財産に包含する。
第7条(証書等の保管等)1.乙は、甲から本任意後見事務処理のため証書等の引渡しを受けたときは、その明細を作成し、任意後見監督人に報告する。
2.乙は、本契約の効力発生後甲以外の者が第6条記載の甲に帰属する証書等の財産を占有所持しているときは、これらの財産の引渡しを受けて自らこれを保管管理することが出来る。
第8条(本人への報告)1.乙は、甲に対し3ヶ月毎に、本任意後見事務に関する次の事項につき書面で報告する。但し、甲の判断能力の低下により、乙が報告不能と判断した場合はこの限りではない。
・乙の管理する甲の財産管理状況
・費用の支出及び使用状況
・報酬の収受
2.乙は、甲の請求があるときは、いつでも速やかにその求められた事項につき報告する。
第9条(任意後見監督人に対する報告)1.乙は、任意後見監督人に対し2ケ月ごとに、本任意後見事務に関する次の事項につき書面で報告する
・乙の管理する甲の財産の管理状況
・甲の身上看護につき行った処置
・費用の支出及び使用状況
・報酬の収受
2.乙は、任意後見監督人の請求があるときは、いつでも速やかにその求められた事項につき報告する。
第10条(契約の解除)1.任意後見監督人が、選任される前においては、甲又は乙は、いつでも、公証人の認証を受けた書面によって、本任意後見契約を解除することができる。
2.任意後見監督人が選任された後においては、甲又は乙は、正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て、任意後見契約を解除することができる。
第11条(後見登記)1.乙は、本任意後見契約に関する登記事項につき、変更が生じたことを知ったときは、嘱託により登記がなされる場合を除き、変更の登記を申請しなければならない。
2.乙は、本任意後見契約が終了したときは、嘱託により登記がなされる場合を除き、終了の登記を申請しなければならない。
第12条(書類の作成)1.乙は、本任意後見事務を処理するに際し、以下の書類を作成する。
・契約時においては、本任意後見契約書、財産目録
・任意後見監督人選任時における財産目録及び預かり証書等の目録
・本任意後見事務に関する会計帳簿
・本任意後見事務に関する事務処理日誌
・契約終了時における事務引継関係書類及び財産目録
第13条(費用負担)1.本任意後見事務に関する費用は、甲の負担とする。
2.乙は、前項の費用につき、その支払に先立って支払を受けることができる。
3.費用の支払については、乙が管理する甲の財産の中からこれを支う。
第14条(報 酬)1.甲は、乙に対して、任意後見監督人選任後の後見事務を開始するための準備報酬として別紙「報酬基準」により、後見事務開始月の末日に支払うものとする。
2.甲は、乙に対して、任意後見監督人選任後の後見事務中、代理権目録における継続的管理業務の報酬として毎月末日金○○円(消費税別)を支払うものとする。
3.甲は、乙に対して、任意後見監督人選任後の後見事務中、代理権目録におけるその他業務の報酬として別紙「報酬基準」により、当該業務終了時に支払うものとする。
4.第3項の報酬については、乙の管理する甲の財産から、その支払いを受けることができる。
5.前1〜3項の報酬額につき次の事由により不当となった場合は、甲及び乙は、任意後見監督人と協議のうえ、公正証書によりこれを変更することができる。但し、甲がその意思を表示出来きない場合は、乙は、任意後見監督人の書面による同意を得てこれを変更することができる。
・甲の生活状況又は健康状態の変化。
・経済情勢の変動。
・その他現行報酬額を不相当とする特段の事情の変化。
6.月の途中に於いて本任意後見事務が、終了した場合においても月割計算としての払い戻しはしないものとする。
第15条(本人死亡後の事務)1.甲は、乙に対し、甲死亡後における下記の事務を委任する。
・通夜、告別式、火葬等の葬儀及び埋葬に関する一切の事務
・賃借建物の明渡し事務
・ 家財道具、身の回りの生活用品の処分
・その他任意後見事務の未処理事務
・相続財産管理人の選任申立手続き
・復代理人の選任
2.前項については、公正証書遺言において遺言執行人が指定され、かつ、前記の内容が特定されている場合は、その効力は生じない。
第16条(契約終了時における財産等の引渡し)1.本任意後見契約が甲の死亡以外の事由によって終了した場合は、乙は、当該管理財産、帳簿類及び証書類を本人または、本人の法定代理人に引渡すものとする。
2.本任意後見契約が甲の死亡により終了した場合は、乙は、当該管理財産、帳簿類及び証書類を遺言執行者又は相続人又は相続財産管理人に引渡すものとする。
3.第15条及び第16条に規定した事務に対する報酬は、別紙報酬基準による。又その費用については乙が管理する甲の財産の中からこれを支う。
第17条(守秘義務)乙は、本任意後見事務に関し知り得た秘密を、正当な事由なくして第三者に漏らしてはならない。
公証役場の手続きと公正証書の登記
本人の真意に基づく適法かつ有効な契約の締結を担保する趣旨から、任意後見契約は、法務省令で定める用紙の公正証書によってしなければなりません。これは、公証人が本人の判断能力と真意を確認することにより、無効な任意後見契約の出現を防止するためです。
任意後見契約を締結するには、まず任意後見契約の委任者と受任者が契約書案を作成します。そして公証人とこの契約書案について相談をし、更に書案を検討して完成させ、その後、日時を定めて作成日とし、その作成日に、ご本人と任意後見受任者の双方が公証役場に出向き、公正証書を公証人に作成してもらうという手順になります。ご本人の身体上のご事情等で、公証人が病院や施設等に出向いて作成する事も可能です。
締結された任意後見契約は、その締結事実、当事者、存続の事実、及び効力発生の有無ならびに任意後見人の代理権及びその範囲等を明らかにするために、公証人もしくは裁判所書記官の嘱託または任意後見受任者等の申請に基づいて、後見登記等ファイルに登記されます。(戸籍への記載ではありません)

