頚椎捻挫・外傷性頚部症候群(むち打ち症)の後遺障害について

見えにくい障害としての「頚椎捻挫・外傷性頚部症候群」

いわゆる「むち打ち(損傷)症」について

頸椎捻挫・外傷性頸部症候群(TCF)が他の外傷などから比べて問題が多いのは、ひとつに客観的な所見(他覚所見)が乏しいことによるものと考えられます。第三者からは、症状の信憑性や治り具合の判断がつけにくいし、被害者にしてみれば誰からも理解してもらえないもどかしさ(焦燥感)などで、他の因子も介在し症状を増幅することもあるからです。

「むち打ち症」の大半を占める「頸部捻挫型」は、本来慢性化しない性格のものされています。急性期に適切な治療を受ければ、そのほとんどが3ヶ月以内に治癒するというデータが出ています。


むち打ち症に対する誤解のひとつに「後になって症状(後遺症)が出るので怖い」などというのがあります。医師の中にもそのように言う人もいますが、受傷後相当期間たっての症状発現は、医学的に考えられず、他の事故以外の原因を疑うのが合理的だと思われます。

外傷は、受傷直後に症状が現れるのが特徴であり、それはせいぜい3日位までで、受傷後長期間を経て頑固な症状が出ることはありえません。バレリュー症状が2〜3週間で現れることはあっても、受傷直後に無症状であることはありえません。 損傷が大きいほど直後に症状を発するもので、症状発現までに時間がかかればそれだけ「軽症」と考えれれます。

むち打ち症で治療が長期化(6か月以上の治療)した場合は、治療効果が余り期待できなくなった時点で「症状固定」といって賠償上の治療範囲を被害者との間で話し合って設定することになります。

その時点で残っている症状を「後遺症(後遺障害)」として、医師の診断書や本人の直接面接をもとに、相手方の任意保険会社を通じて、自賠責保険によるその等級認定申請を行うことになります。

頚椎捻挫・外傷性頚部症候群の症状

頚椎捻挫・外傷性頚部症候群の症状には個人差があり、事故状況、被害者の体質・年齢などによっても違ってきます。事故直後は、脳震盪の症状として短時間の意識障害を起こすことがあります。

頚椎捻挫・外傷性頚部症候群とは、その起こり方をさすものですが、診断書に記載される傷病名は、「頚部捻挫(けいぶねんざ)」・「頚部挫傷(けいぶざしょう)」・「外傷性頚部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)」・「外傷性頭頚部症候群」・「外傷性頸部捻挫」等になります。

頚部の捻挫を主とする症状(全体の約75%)

頚部の筋肉や靭帯、関節包の損傷によるものです。脊髄に損傷がなく、強い自律神経失調症状やはっきりした神経根症状もみられない、主として頭痛、頚部の疼痛、頚項部筋肉の圧痛、頚部の運動運動制限を中心としたものです。

神経根の障害を主とする症状(全体の約10%程度)

神経根に腫れや引き抜き損傷がおこると、それを支配しているところの領域に症状がでます。上位頚椎の場合は大後頭神経支配領域の放散痛及び神経の圧痛、下位の場合は首から肩、腕にかけての放散痛、しびれ感、上肢の筋力低下、筋萎縮、運動及び知覚障害などが起こります。

ジャクソンテスト、スパーリングテストなどと呼ばれる神経学的検査によって、他覚(客観的)所見や皮膚の知覚部位と一致する障害、腱反射の異常などで診断されます。

「神経根症状型」

脊髄の運動神経と知覚神経が集まっているところを「神経根」と呼びます。この神経根の周りに腫れが起こったり、引抜きのような損傷が起こると、それぞれの神経がコントロールしている部位に症状があらわれます。 神経学的検査などにより、他覚的所見が認められます。

自律神経の障害を主とする症状

椎骨脳底動脈の血行不全により、その支配下の視床下部、脳幹部の血流減少により、首や肩の症状は強くなく、「頭痛、頭重、眼精疲労、耳鳴り、難聴、めまい、、声のかすれ、記憶や集中力の低下」内臓の症状として「食欲減退、消化不良、吐き気」などの胃腸障害がみられます。

後遺障害等級認定のポイントは、自覚症状が画像所見や頸・腰部神経症状の異常所見で証明できること、神経学的な所見が重要になることです。

多くの方の自覚症状としては、頸部痛、肩痛、めまい、手指のしびれ等です。その原因の多くは、骨傷では無く、靱帯、筋肉等の軟部組織の急激な引き伸ばしによる小内出血を伴う捻挫症状といえますが、そればかりとは限りません。手指のしびれは、手指を支配する末梢知覚神経に異常があって生じるという医学的な説明が可能です。つまり、人差し指と中指にしびれがあるとすれば、この部位を支配する知覚神経は、頸部第七神経根から発する神経であり、親指であれば、第六神経根由来のものであることが頸部及び肩部の知覚神経であれば、第3〜6神経根に由来するものでることが医学的に証明されています。つまり、頸部神経根部分に神経圧迫要因が画像所見で確認できれば12級相当であり、推認できれば14級相当となります。

頚椎捻挫・外傷性頚部症候群の経過

個人差や事故態様など様々な要因がありますので、ひとまとめすることは難しいのですが、およその経過を病型分類別にしています。出典は「むち打ち損傷ハンドブック」遠藤健司・シュプリンガージャパン社

「頚椎捻挫型」

事故により受傷、頸部に軽い違和感あり、当日事故近所の病院の救急外来を受診して、頸椎X線撮影され、骨に異常なしと診断された。

翌日になって頸部の針が強くなり痛みが出現した。手足にしびれなどはなかったが頚部を動かすと痛みが出現して肩が少しこりやすくなった。

神経事態の損傷は少ないことが多く、数日間の安静の後に早期に元の生活にもどりながら痛みが軽減してゆくのを待つ。

「神経根症状型」

事故後、頸部と片側上肢、肩甲骨に痛みとしびれを自覚した。しびれは頸椎の運動によって強くなり、手指に知覚症状が存在した。下肢には異常はない。

しびれが続く場合には頸椎にヘルニアなどの合併症がないか、MRIによる検索をすすめながら治療を継続する。頸椎の運動は慎重に行う。

「脊髄症型」

事故後、頸部痛のみでなく、両側上肢、下肢にしびれや動きのにぶさが出現した。階段の昇降が不自由で、洋服のボタンがけが不自由である。

下肢症状がはっきりしている場合には、腰椎の合併症がないかも確認しながら、早期にMRIによる頸椎の圧迫病変の有無を検索する、頸椎の安静を必要とする。


頚椎捻挫・外傷性頚部症候群においても、急性期と慢性期では、その症状も治療方法も異なります。一般的に1か月以内にて治療が終了するケースが全体の80%ですので、少数例として長期化する場合があります。

慢性期においては、持続する疼痛刺激によって神経回路における痛みの記憶として残ると言われています。そして、軽微な刺激や交感神経の興奮、心理的な要因や社会的要因によって記憶が増強しやくすなるなどの場合があります。

診療の現場では、EBM(証拠に基づいた医療)が普及し、インフォームドコンセント(説明と同意)が定着しています。専門医の主治医にご自分の症状や治療方法、経過や予後などをよく話す事が大切です。

急性期における症状

自覚症状なし、頭がぼっーとした、圧迫感、緊張感、頭痛、肩こり、上肢の脱力感やしびれ、めまいなど。事故受傷直後と、急性期の初発や後発症状に変化があることが特徴です。

慢性期における症状

頚部痛、頭痛、めまい、頭部顔面のしびれ、吐き気や嘔吐、四肢症状、自律神経症状、腰痛など。

等級認定においては自覚症状と各検査や所見との整合性を重要視する傾向にありますので、ご自身が自覚症状を整理して、その様子を言葉にしておくことが、後遺障害等級認定上は重要です。

疼痛の医学的知見

どの様な痛みがあるのかを主治医に正確に伝える事も重要です。

国際疼痛学会よる「疼痛」とは、「痛みは、実質的または潜在的な組織損傷に結びつく、あるいはこのような損傷を表す言葉を使って述べられる不快な感覚・情動体験である。」と定義されています。

外傷や炎症などによる急性痛は侵害受容性、この疼痛は何らかの刺激から健常な組織を保護するための、生体の異変を知らせる重要な警告信号である。神経因性は、末梢及び中枢の神経系統の器質的な異常による病的な痛み、症状としては、自発痛、感覚過敏、異痛症(アロディニア)。心因性疼痛は、器質的な病変が何もなく、心理的な要因で起こる痛みを指し、社会的・精神的なストレスが関与する場合が多い。

具体的な痛みの表現と関連する組織は、ひきつつような痛み→筋。鈍く疼くような痛み→靱帯、関節包。鋭く打ち込まれるような痛み→神経根。鋭くはっきりとした電気が走るような痛み→神経。焼けるような、押し込まれるような、刺すような痛み→交感神経系。深く、しつこい鈍い痛み→骨。鋭く、耐え難い痛み→骨折。

疼痛評価:MPQ(McGill Pain Questionnaire)は、1・・・痛みの部位。2・・・痛みの性質を言語表現。3・・・痛みの時間的変化。4・・・痛みの強さの4項目で示され、現在の痛みの程度(痛みは無い→軽い→不快な→悩まされる→ひどく不安な→激しく苦痛な)。時間的変化(短時間の、一瞬の、一時的な、律動的な、周期的な、間欠的な、持続的な、間断のない、常時)。併発症状(悪心→頭痛→めまい→眠気→便秘→下痢)。睡眠(良好→断続的→不眠)の症状により評価なされます。

治療に関する保険会社との問題

頚部捻挫で「保存的治療」を継続していると、相手方保険会社より様々な要求や指示が来ることがあります。

保険会社は、その治療については必要性や相当性を欠く過剰診療ではないか、治療を続けても効果が上がらす症状が固定した状態ではないか、むやみに接骨院・鍼灸などの東洋医学等への治療を続けているのではないかと指摘してきたりします。

治療の中断や、初診遅れがあった場合には、治療費の支払いを停止すると通知される場合もあります。代替医療についても必要性を問いかけてきます。「必要かつ相当な」治療を継続することは意外と厳しいのが実情です。

主治医の問題

厄介なの問題はむしろ医師の当たり外れです。

一般的な整形外科医は、初診時に視診→問診→触診に加えて理学診断を行い、画像検査を経て確定診断をしています。骨折や脱臼を伴わない場合には、レントゲン検査結果だけで、理学診断を行わず、決めつけて掛かるいわば自己完結型の医師がいます。

この様な医師に当たった場合には、往々にして経過観察も漫然と同じ事の繰り返しで、理学診断やMRI検査が行われないままで、愁訴の原因を確認しようとしません。よって、症状が残遺した場合には曖昧な所見になります。

一方、大学病院や著明な専門病院では重篤な患者に対して、高度で先進的な治療を提供していますので、頚椎捻挫は相手にしてくれないのも実状です。

したがって、通院されている病院は自己決定と見なされますので、ご自身が相性の良いと思われる医療機関や医師を捜す(ドクターショッピング)必要があります。「治療に専念できる環境」は自己責任です。

その際には、理学療法士が在籍していてリハビリを受けられる医療機関をお薦め致します。整骨院等の柔道整復師ではリハは出来ませんし、施術を受けても医学的効果は立証できません。

後遺障害等級として認定条件とは

「局部に神経症状の残すもの」14級9号の認定基準

頸椎捻挫・外傷性頸部症候群により残遺した症状については、「局部に神経症状を残すもの」として14級9号が認定対象になります。

残存している症状が後遺障害として認定されるには、1.障害がなおったときに残存する傷病と相当因果関係を有すること。2.障害が将来においても回復が困難と見込まれるき損状態であること。3.障害の存在が医学的に認められ労働能力の喪失を伴うものであること。という備えるべき条件(要件)があります。

具体的には

まず、「病院」へ6ヶ月以上通院し、その期間中に4週間以上の治療・診察の中断が無いこと。次に、「病院」の医師が「医学的」に障害を認める他覚的な所見が記録されていること。

この半年間の通院実日数の目安としては、40日以上が前提条件です.

接骨院や整骨院はそもそも対象外

事故受傷時は病院へ行き、その後整骨院・接骨院・鍼灸などの施術に通われる方がいらしゃいますが、後遺障害認定においては、「病院」への通院状況・症状経過、「医学的」他覚的所見によって障害の評価がなされますので、医師でも無い柔道整復師による、医療行為ではない施術では、上記の前提条件の対象外になります。

後遺障害等級の認定は、一般的には難しいと言われていますが?

頚椎捻挫等から来る様々な症状は、それを裏付ける他覚的異常所見に乏しい面もあり、また、数値的に表されるものでもない為、一般的に難しいと思われているのではないでしょうか。しかし、後遺障害等級認定手続きには、異議申し立て手続きが認められています。

頚椎捻挫等で頸椎捻挫と診断された方が、後遺障害等級に認定されるか否かの経験上・実務上からのメルクマールは、受傷時からの治療先での全ての診断書及び診療報酬明細書の記載内容を確認して行きます。まずは、相当因果性が挙証できる事が出発点になります。それは一医による受傷機転(どのような原因でどのような結果をもたらしたか)の確認になります。頸椎捻挫等における急性期の症状経過では、後発症状の出現でも受傷より4週間以内になりますので、受傷後1か月以上を経て出現した症状では、因果関係が無いと判断されます。また、「受傷直後がもっとも重篤である」という基本的な認識から、初診時および急性期の症状所見を確認して行きます。急性期の所見が出発点であり重要な事項なのですが、不幸にして病院や主治医が、対処療法や消炎鎮痛剤のみの薬物療法での治療を繰り返し、肝心の他覚的所見の記載がないケースを多く拝見します。主治医との関係が良好である場合と、そうでない場合には対応の仕方が変わります。

事前認定にて「非該当」であった方が異議申し立てをするにもそのポイントがあると思います。認定されなかった理由、被害者が訴えている症状を一つ一つ精査し、的を射た立証資料を添付し異議申し立てをすることにより、適正に評価・認定されることはよくあることです。

異議申し立てには客観的な事実証明の立証を書類にするとう積み重ねが大事ということです。後遺症・後遺障害の「神経症状の後遺障害診断書」「等級認定の異議申立て」もご確認下さい。

自賠責保険への被害者請求のご支援

医者任せ・保険会社任せでは等級認定に至りません。

事故受傷より6ヶ月を過ぎても、症状が残存している場合には、自賠責保険へ被害者請求をして、後遺障害等級認定がされるべきです。

ご相談いただく時期は、相手方任意保険会社より治療打ち切りと通告された、医師よりそろそろ症状固定と打診された、通院を継続しても一向に改善されないなどのご事情が起きたときです。事実関係が分かる書類を用意されるか、事情を整理されてから、メールにてご相談下さい。

後遺障害等級認定の見込みを無料でご判断させて頂きます。

しかし認定の見込み無い事案では無料相談の際に、「お役に立てません」とご返事をさせて頂き、お断りをさせて頂いておりますので、予めご了承下さい。


その後の費用については

相手が自賠責損保へ被害者請求による後遺障害等級認定のご支援における費用は、業務受任時に相談料を含む事務手数料として1万円その後等級認定結果による結果報酬(10万円)、異議申立はご依頼時に事務手数料として3万円、その後等級認定に至った場合には結果報酬が15万円にて承っております。結果報酬は等級認定が成されなかった場合及び等級変更が成されなかった場合には支払いは発生しません。また、等級に応じて成功報酬をつり上げスライドする方法は、書類の作成という行政書士の本分から有り得ません。

まずはメールにてご相談下さい。無償で対応させて頂いております。

ページトップへ