自賠責保険請求手続き
一般的には、自賠責保険請求手続きは、加害者側の任意の対人賠償責任保険の契約がある場合は、その契約保険会社等が窓口になり、一括払いで、被害者に対して損害賠償金を支払った後にまとめて自賠責保険への請求をし、医療機関等への支払をしています。

これに対して、自賠責保険では被害者請求(自賠法16条請求)として、被害者からの自賠責保険に対して直接請求できるようになっています。自賠責保険の請求先は、加害者の車にかかっている自賠責保険です。全て書面によって請求します。過失割合は事故状況報告書を基に判断され決定されます。
被害者請求は、被害者本人、親権者、家族、遺族、委任をされた人が請求する事ができます。
提出書類の基本となるものは、自賠責保険金支払請求書、交通事故証明書、事故発生状況報告書、診断書、診療報酬明細書、印鑑証明書などですが、事故の状況等によって追加してそろえなければならない書類が異なります。
自賠責法の被害者請求には、加害者の賠償責任が発生してから2年で時効になりますので、時間がかかりそうな時は時効中断の手続きが必要になります。
自賠責保険への被害者請求
内払い請求とは、休業損害や治療費、入院雑費などをその都度請求する方法です。請求は10万円を超えた時点で行えますが、死亡や後遺障害の場合には出来ません。
仮渡金は、被害者が事故後、治療等当座の費用として入用なときに請求できます。傷害の場合は40万円・20万円または5万円になります。
本請求とは、治療が全て終了した段階で請求する方法です。損害額の計算は損害保険料率算定機構の調査事務所が行いますが、ここでの調査はすべて請求書より提出された書類によるものです。この場での交渉や話し合いはありません。主張すべき事実を立証できる書類によって判断されます。本請求の場合にはおよそ1か月程度後に支払がなされます。
根拠条文・自賠法16条1項
自賠法16条1項、保有者の損害賠償の責任が発生した時は、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる
仮払(仮渡金)請求仮払金請求は、被害者が当面の治療費や生活費に困る時、損害を立証する書類が無くても診断書を提出することによって自賠責保険から一時金の支払を受ける物です。(自賠法17条)
内払請求内払金請求は、治療が長引く場合に治療中の治療費、休業損害をその都度請求するものです。ただし、これは仮渡金請求とは異なり損害を立証する書類を提出する必要があります。この制度は自賠法の定めではなく、保険会社が被害者や加害者の便宜のために設けた制度です。
本請求本請求は、治療も完了し全損害が確定した段階で請求するものです。決められた資料の提出が必要になります。
死亡による損害については直ちに、また後遺障害による損害については、症状固定後に保険金を請求する事ができます。傷害による損害については、被害者の治療が終わるなどして損害額が確定した後に本請求になりますが、その前でも内払い制度を利用して、適宜に支払を受ける事ができます。
被害者請求の必要書類
加害者側の損害保険会社等に直接請求する際の必要書類になります。必要書類は各社に備え付けてあるものに記入するものと、収集するものがあります。
自賠責保険には支払限度額があります。傷害事故は120万円、後遺傷害は後遺障害等級の基準により75〜4,000万円になります。
自賠責保険における損害調査
請求者(被害者・加害者)は、損害保険会社等への請求書を提出します。損害保険会社等は、請求書類に不備がないか確認のうえ自賠責損害調査事務所へ通知します。
自賠責損害調査事務所では、請求書類に基づいて、事故の発生状況、支払の適格性、発生した損害の額などを公正かつ中立な立場で調査を行います。請求書類の内容だけでは事故に関する事実確認ができないものについては、事故当事者に事故状況照会や病院照会、事故現場調査などの必要な調査を行います。自賠責損害調査事務所は、損害保険会社等に調査結果を報告します。損害保険会社は、支払額を決定し、請求者に支払います。
平成17年度の請求事案の調査所要日数は、全体の97.4%が30日以内です。後遺障害の事案では、30日以内が88.5%、60日以内が5.7%、90日以内が2.8%、90日超が3.0%になります。
判断の難しいケースは特定事案として審査されます。
自賠責保険(共済)が支払われない無責の事案、あるいは減額される可能性のある重過失減額の事案、後遺障害の等級認定の異議申し立て事案、脳外傷による高次脳機能障害が残存する事案については、特定事案として審査されます。
後遺障害等級認定異議の事案では、専門医が参加する後遺障害審査会で審査されます。この専門部会は、損害保険料率算出機構以外の第三者も加わって審査する最終的な審査機関で、日本医師会および各専門領域の医学会が推薦した医師、交通法学者、日弁連が推薦した弁護士、学識経験者で構成されています。




