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「老いじたく」老後の不安に備える

本メルマガの目的は、老いに不安を感じ、自分らしく生きるために、自分の老後は自分で備えたいと思うかたに、その不安と向かい合う方法やしくみを、成年後見制度や遺言から、行政書士がお伝えすることです。

最新号をお伝え致します。マグマグ紙面と同じ文章ですが、キーワードにマーカーを付けています。


第24号 知的障害者と成年後見制度 発行:2007/11/06

成年後見制度は、認知症高齢者や精神障害者、知的障害者の方で、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況、著しく不十分、不十分な方が対象です。

認知症の高齢者が170万人、精神障害者は250万人、知的障害者も50万人といわれいています。平成18年度終了時点で成年後見制度の累計利用者数は約12万人ですので、470万人分の12万人ですから利用率はわずか2.5%になります。法制化時点での利用者数は100万人以上と想定されていますので、まだ利用者が少ないのが現状です。そこには様々な問題があると思われます。


今回は、知的障害者の問題です。知的障害者とは、「知的機能障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別な援助を必要とする状態にあるもの」と定義されています。成年後見制度に関する書籍は多数出版されていますが、知的障害者に関する良書に出会いました。

       

知的障害者の成年後見の原理(自己決定と保護から新たな関係の構築)著者 細川瑞子 発行:信山社


       

内容は、第1章成年後見制度の成立、第2章障害者の自立と自己決定、第3章自己決定とは何か、第4章現代社会と知的障害者、第5章知的障害者と成年後見制度 第6章知的障害者との新たな関係の構築現在に至る思想や考え方の変遷が書き表されています。

      

「スタートの機械的平等さえ準備すれば良しとして、結果の不平等や良し悪しを問わない、それが格差社会を招き、生き難さがじわじわと社会に広がってくる。このような社会で、はたして福祉が、それを必要とする社会的弱者に届くのであろうか。どのような社会が望ましいのか、その基本的な価値を方向が明確になったいない現代社会。そんな中で、私たちは糸の切れた凧のような状態で浮かんでいる。」と現在社会を認識しています。

       

「このような不安が広がる社会において、知的障害者が安心して生きていくためには、法的な代理制度である成年後見制度の積極的利用が不可欠になっている。しかし、成年後見制度が知的障害者の利益になるような形で社会に受けいられていくためには、知的障害者の福祉に係る私たちが、知的障害者にとって、「成年後見制度がなぜ必要なのか」、「成年後見制度の何を期待し、制度は何を担えるのか」、「その為に必要な理念とは何か」をしっかりと問うことから始めなくてはならないと思われる。」と問題提起をしています。


知的障害者が抱える問題点

「1.知的障害者は、知的機能の障害が発達期にすでに見られ、日常生活に支障があり、特別な援助を必要とする状態が継続しており、長期間にわたって何らかの支援が必要であこと。2.その支援については、認知症高齢者のように「今まで生きてきたように、最後の数年間を援助する」ことが、その人の自己決定であろうと「推定」することができないこと。3.法的にいえば、20歳で親権から抜けた後、措置制度もなくなった現在においても、何らかの法的保護が必要であることに変わりはないこと。4.これまで親が子の一生を抱え込んで、全責任を負ってきた現実があり、本人が自分の人生を決定していく経験がないこと。」

認知が不正確で抽象的な概念がもちにくく、先の見通しが立てにくい障害の特性から、周囲の人たちの不適切な関わりによって培われる、自己の障害に対して適切な認識をもてず、自己否定感を持ちやすい障害者にとっての杖は「人」であることへの必要な配慮とは何か、現在に至るまでの経緯や背景などがまとめられています。

親亡き後の問題として、障害者本人にとっては、従順であること、愛される障害者であることを期待され続けて、選ぶことの経験も乏しく、いやと言えない生活を強いられ、嫌やを諦める状況で生きてきて、リスクを伴う自己決定は一番難しいテーマです。


      

「親に代わる知的障害者の人生の伴走者としての成年後見制度」を「知的障害者のベストインタレスト(最善の利益)の実現のためには、法律学、社会福祉学に止まらず、広く哲学や倫理学などの社会科学諸分野で積み重ねられきた多くの知見を踏まえ、障害者のおかれた現状や、現代社会の現状をもしっかりととらえおく必要がある」、「利用者にとって有益であるためには、基本的な価値と方向性を明確にしておく必要があり、決して表層的な理解に止めてはならない」との著者の問題意識を、「知的障害者の成年後見について、その背景となる原理の考察を重ねてきた。ここで考察したことは、ある一つの結論を出すことではなく、結論を導くための叩き台となるであろう、あるいはそう期待したキーワードを探ったものである」とエピローグに記されいる通りに進行していく書籍です。巻末の参考文献は600以上が一覧に記載されいます。この本は哲学書であり批評書です。

知的障害者の成年後見制度の利用は、親との関係では、親亡き後の不安を解消を担えるか、親の相談相手としてや地域生活と自立支援を支える支援者であるとの、倫理感が後見人には必要になると感じました。


---編集後記---

「平成18年度司法統計から、申立人と本人の関係をみると、子が26%で親が31%でした。親が申立てている場合の多くが知的障害者と考えらています。」とこの本に記されていました。障害者が20歳を過ぎた事を契機に成年後見制度を利用される方が増えたのではなく、どうやら措置から契約へ移行した福祉施設から、障害者自立支援法が施行された事などの影響もありそうです。


知的障害者の成年後見の原理―「自己決定と保護」から新たな関係の構築へ

知的障害者の成年後見の原理(自己決定と保護から新たな関係の構築)

著者 細川瑞子 発行:信山社

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遺産分割調停・審判の申立書ダウンロード 第14号・発行2007/05/01 (428KB)

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